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「いつもと違う」体験の効用 / 2026年9月号

9月29日
読了時間: 5分

のぼちー いつもと違う体験

皆さまは、お子さまと過ごす中で「いつもと違う」ことを意識して取り入れることはありますか?


朝起きて、いつもの道を通って、いつもの場所へ行き、いつもの遊びをする。

特に意識をしなくても、毎日の生活には自然とルーチンができている方が多いのではないでしょうか。


いつもの流れがあると、物事がスムーズに進み、効率的なのは確かです。

でも、そんな日常の中にほんの少しだけ「いつもと違う」ことを加えてみると、子どもの反応や行動が変化します。


今月は、そんな「いつもと違う」体験がもたらす変化や効果についてお話しいたします。


▶ 「いつもと違う」が「?」を生む

子どもにとって、初めて見るもの、初めて触れるもの、初めて訪れる場所は、普段の慣れた環境とは異なる新鮮な刺激を与えてくれます。


  • いつもと一本違う道から帰ってみる

  • いつもと違う公園に行ってみる

  • いつもと違う食器を使ってみる

  • 晩ごはんの席をいつもと変えてみる


遠出や特別なイベントでなくても構いません。

日常の中にほんの少し変化を加えるだけで、子どもの目に入る景色や情報が変わります。


例えば、いつもと一本違う道を通るだけでも、普段は見かけない植物や看板、お店に出会うでしょう。


すると子どもは、


「これはなんだろう?」

「このお花、触ったらどんな感じかな?」

「このお店は何を売っているのかな?」


と、自然と周りを観察し、考え、確かめようとするかもしれません。


慣れた景色の中では、目に入っていても気づかずに通り過ぎていたものも、「いつもと違う」という小さな変化をきっかけに、新たな「?」が生まれます。

そして、「もっと見たい」「もっと知りたい」という気持ちが、能動的な行動の原動力になるのです。


こうした体験の積み重ねは、身の回りのものに目を向ける観察力や、自分なりに考える思考力を育むことにもつながります。


実際、好奇心や探索に関する近年の研究では、新しいものや予想外のものとの出会いが、好奇心を引き出し、注意を向けたり情報を探したりする行動につながることが示されています。

また、こうした過程は、学習や記憶にも関係すると考えられています。¹⁻²


▶ 家族の会話と記憶を豊かにする

「いつもと違う」体験には、もうひとつ嬉しい効果があります。

それは、家族の会話が自然と広がることです。


普段なら何気なく過ぎていく一日も、少し違う体験をするだけで、


「これ、何だったんだろう?」

「初めて〇〇したね。」

「このお料理、〇〇と似てるね。」


と、自然と話題が増えていきます。


ここで少しポイントとなるのが、子どもへの語りかけ方です。


「どうだった?」と質問を重ねるだけが会話を広げる方法ではありません。


「これが面白かったな」

「ちょっと不思議だったね」

「お父さんはこっちが気になったな」


このように、大人自身の素直な感想を口にしてみるのもおすすめです。


すると子どもも「正解を答えなきゃ」と身構えることなく、


「私はこっちが好きだった」

「ちょっと怖かった」


と、自分が感じたことを自然と話しやすくなります。


感じたことを言葉にするプロセスは、子どもにとって自分の発見や感情を言語化する大切な経験です。


「そういえば、あのときの〇〇、面白かったよね」と振り返る温かい思い出が増えていくことも、「いつもと違う」体験がもたらす魅力です。


▶ 静のアクティビティとの共通点

ここまでご紹介した「いつもと違う」体験は、以前「静と動のモードの切り替え/2025年11月号」でご紹介した静のアクティビティとも共通する部分があります。


それは、子どもが周囲の情報に触れ、脳を働かせる機会になるという点です。


パズルや絵本、図鑑、観察などの静のアクティビティを行っているとき、子どもの頭の中では「これは何だろう?」「もっと知りたい!」と様々な思考が巡っています。


「いつもと違う」体験もまったく同じで、小さな変化が子どもの「?」を引き出し、自発的に観察したり思考したりするスイッチを入れてくれます。


静のアクティビティも「いつもと違う」体験も、どちらも子どもの頭と好奇心を心地よく動かす時間です。


こうした時間を日常に少し取り入れると、一日の過ごし方に変化をもたらし、子どもの経験する世界をより広げてくれることでしょう。


▶ 岩講習での「いつもと違う」体験

今回の岩講習では、いつもの「登る」体験に加えて、クライミングエリアを歩いて岩を観察するプログラムも計画しています。


岩場の地図を見ながら探検してみたり、いつもは行かないエリアに足を延ばしてみたり。


「この岩はどんな形をしている?」

「この岩だったらどこから登る?」


と、いろいろなことを考えたり試したり発見したりしながら、岩の魅力に触れていきます。


晴れたらダイナミックに登る体験を。

雨が降ったら、地図を広げ、岩に触れ、じっくり探検する体験を。


予定通りにいかないことも含めてその日の環境を丸ごと楽しむ――それもまた、子どもたちにとってかけがえのない「いつもと違う」体験になるはずです。


▶ 小さな寄り道から始まる、新しい世界

大人にとってはほんの少しの寄り道や小さな変化でも、子どもにとっては新しい世界が広がる大きな一歩になるかもしれません。


次のお休みには、ぜひご家族でひとつ「いつもと違う」ことを探してみませんか?


のぼちーでも、子どもたちの「?」や「やってみたい!」を大切にしながら、毎週「いつもと違う」テーマをご用意しております。


引き続き、一緒にのぼちーを楽しんでいきましょう!



参考文献

¹ Nussenbaum, K., Martin, R. E., Maulhardt, S., et al. (2023). Novelty and uncertainty differentially drive exploration across development. eLife, 12, e84260.https://doi.org/10.7554/eLife.84260

² Gruber, M. J., & Fandakova, Y. (2021). Curiosity in childhood and adolescence — what can we learn from the brain. Current Opinion in Behavioral Sciences, 39, 178–184.https://doi.org/10.1016/j.cobeha.2021.03.031

 
 
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