「家のお仕事を任せる」ということ / 2026年8月号
更新日:8月31日

▶ 「家のお仕事」を子どもに任せてみませんか?
私事ですが、先日、息子がお誕生日にお料理を作ってくれました。
お料理を作ってくれること自体はよくあるのですが、今回は、相手のためにメニューを考え、冷蔵庫を確認し、お買い物をし、お料理をして、お片付けまで——そんな一連の流れを全て一人で自然に行っていました。
その姿を見ながら、1歳頃から、年齢や成長に合わせて、お料理やお掃除など、少しずつ「家のお仕事」に関わる機会をつくってきたことを思い出しました。
もちろん、最初からスムーズにできるわけではありません。
まずは、テーブル拭きやワイパーでのお掃除、洗濯物を運ぶなど、比較的失敗の少ないお仕事から。
慣れてきたら、食器を運んだり、お料理を盛り付けたり、洗濯物をたたんだり、ある程度完成度が求められるお仕事へ。
そして、晩ご飯のおかずを一品担当したり、換気扇の掃除をしたりといった、一つの独立したお仕事へ。
「盛り付けを○○くんにお願いしてもいい?」
「テーブル拭き大臣になってくれる?」
そんなふうに、少しずつ「家のお仕事」を任せてきました。
▶ 「家のお仕事」は義務にしない
ここで大切にしていたのは、「家のお仕事=子どもの義務」にしないことです。
子どもに家事をしてもらいたいと思うと、つい「毎日やってね」「自分の仕事だから最後までやろう」と、最初から定例の役割を決めたくなります。
でも、まだ経験の少ない子どもにとって、難しすぎたり、量が多すぎたりすると、「楽しい」よりも「やらなければいけない」が先に立ってしまいます。
だからこそ、最初は子どもが無理なく、楽しくできる難易度と量にすることが大切です。
「これなら自分にもできそう!」
そんな感覚を持てることが、次の「やってみたい」につながっていきます。
▶ 「教える」から「一緒にやる」へ
最初から「一人でやってみて」と任せる必要はありません。
まずは親がお手本を見せながら、一緒にやってみる。
ここでのポイントは、長時間教えようとしないこと。
親は子どもへの期待値が高い分、どうしても熱が入ってしまいがちです。
でもここは自分の気持ちをぐっと抑え、子どもの気持ちの動向を観察してみてください。
子どもが興味を持っているうちに、短時間で切り上げる——未就学児さんに何かを教える時のポイントの一つでもありますが、「もっとやりたい」と思えるくらいで終わることが継続の秘訣です。
少しずつやり方が分かってきたら、今度は親子で一緒にスタート!
たとえば洗濯物をたたむなら、「どっちが速く5枚たためるかな?」とゲームにしてみる。
おもちゃの片付けなら、「こっちは○○ちゃん、こっちはパパ」と範囲を分けてみる。
ちょっとした競争にすると、家事に遊びの要素を入れることができます。
「これをやって」ではなく、「一緒にやってみよう」「どっちが速いかな?」から。
そうやって、まずは「できる」「楽しい」という経験を積み重ねていきます。
▶ 一人でできるようになったら「お仕事」として任せてみる
そして、一人でもスムーズにできるようになってきたら、ここで初めて「お仕事」としてお願いしてみます。
「今日はテーブル拭きをお願いしてもいい?」
「今日は洗濯物をたたむ係をやってくれる?」
ポイントは、アシスタントとして手伝ってもらうのではなく、子ども自身で完結できる仕事を切り出して、任せてみること。
一つのお仕事を最後まで自分でやり切ることで、「任されている」という感覚が生まれます。
「自分でできた」
「自分の仕事として任されている」
そんな経験が積み重なると、少しずつ責任感も育っていきます。
そして、最初は時間がかかっていたことも、何度も繰り返しているうちに慣れてきます。
慣れると、動きがスムーズに、
スムーズになると、行動が速くなります。
最初は毎日でなくても構いません。
まずは「今日お願いする」という単発のお仕事から。
無理なくできるようになってきたら、少しずつ定例のお仕事にしていきます。
▶ 「定例」にするなら期間を区切る
定例のお仕事にするときにも、もう一つ大切にしたいことがあります。
それは、「ずっと続ける仕事」にしないこと。
たとえば「今週はテーブル拭き担当」というように、期間を区切ってお仕事設定してみることがおすすめです。
親も子どもも、成長や生活の状況によって、できることは変わっていきます。
最初は楽しくできていた仕事も、いつの間にか負担になっているかもしれません。
だからこそ、親が無理なく確認できる範囲、そして子どもが楽しく続けられる範囲で、まずは短めの期間を設定する。
「気が付いたらやらなくなっていた」という状況にならないために、その時々のご家庭に合った量や内容に調整できるよう、期間を区切ってお仕事を設定してみましょう。
大切なのは、「できた!」という経験を積み重ねていくこと。
「今のこの子なら、どのくらいの期間なら楽しくできそうかな?」
予想より少し短めの期間で設定してみるのも一つの方法です。
「できた!」と気持ちよく終えられる機会が増えれば、自然と「またやってみよう」という気持ちにもつながっていきます。
▶ 「生活する力」は、未来の時間をつくる
家事は、生活する上で必要なお仕事です。
料理や洗濯、片付けなど、生活に必要なことを手際良くできるようになれば、日々の生活にかかる時間を減らすことができるようになります。
こうした力は、子どもが大きくなって一人暮らしをしたり、働くようになったときにも、きっと役立つはずです。
生活に必要なことをスムーズにできるようになれば、その分、仕事に集中したり、学びたいことに挑戦したり、好きなことを楽しんだり、大切な人と過ごしたり――。
「必要なこと」を効率良く行い、「自分が本当にやりたいこと」に時間を使える。
そんな未来のための力も、幼い頃からの小さな「家のお仕事」の積み重ねによって育てていくことができます。
▶ 「できる」を増やして「考える」時間をつくる
そしてこれは、のぼちーで「巧緻性カリキュラム」を大切にしている理由とも、少し似ています。
指先を使う細かな動作を繰り返し、日常の「できる」を増やしていく。
お洋服をたたむ、お弁当を包む、靴を履く――。
こうした基本的な動作がスムーズになることで、次の「聴く・考える・話す」といった、より創造的な活動に時間を使えるようになります。
ベースとなる行動を少しずつ速く、スムーズにする。
そして、その先にある「考えること」に時間を使えるようにする。
――家のお仕事の役割分担も、巧緻性カリキュラムも、目指していることは同じです。
まずは、お子さまが「できそうなこと」を一つ見つけてみてください。
「できる」を一つずつ増やし、「任せてもらえた」を一つずつ積み上げていく。
小さな「任せる」の積み重ねが、子どもたちの自立する力や、「自分でできる!」という自信につながっていきます。
引き続き、一緒にのぼちーを楽しんでいきましょう!



